今回の地震災害には不幸中の幸いに大規模な火災が発生しませんでした。
しかし淡路神戸大震災では大規模な火災が発生しました。
当時は倒壊した建物の中に生存者がいるかも知れず、航空機からの消火活動をすれば生存が危ぶまれる
という理由で空中からの消火作業は行われなかったと聞いています。
しかし地震により倒壊した火災発生個所に消防車が近づくのは考えれば容易なことではないでしょう。
また火災発生後速やかに消火しなければ閉じ込められた人たちが今度は焼死する事は目に見えています。
消火指揮官は悩む所でしょうが、火災を小規模なうちに消火しなければ人員の損失も増える事は目に見えてい
ると思います。
そこは被害の拡大を最小限に食い止める為には多少の犠牲は止むをえないと考えるべきでしょう。
さて欧米では大規模火災に対しての備えとしてウオーターボマー(消火飛行機)が運用されています。
アメリカでは最大型機としてB747も使われていますが、日本では運用面から見ると水陸両用機がベストです。
理由としてはターンアラウンドタイムの短縮、水陸両用機ならば水の補給は水面を滑走中に行えて時間当たり
の散布量がヘリコプター、陸上機に比べて格段に多く効率的な点が挙げられます。
我が日本では一時というか2度に渡って検討され実機でのデモフライトがカナダから呼び寄せたCL-215と
CL-415(CL-215をターボプロップ化した性能向上型)で行われましたが結局導入は見送られました。
また国産のPS-1を改造して各種テストを実施しましたがこちらも運航コストの面から見送られてしまいました。
今のところ日本では大規模な山火事等は発生していませんが年に数回2~3日に渡って燃え続ける山火事が
発生しています。早急にウオーターボマーの導入を検討してほしいですね。
出来ればPS-1のデータを転用できるUS-2を改造すればコスト、時間の面からもベストでしょう。
いまや戦闘機でもマルチロールの時代なのにUS-2に救難機としての任務だけしか与えてないのは宝の
持ち腐れです。今の技術からすれば赤外線暗視装置等を駆使して夜間のオペレーションの可能でしょう。
US-2も中はがらんどう、消火用タンクを付けても洋上救難には差し支えないと思います。
またつなぎとしては、既に実用化されているC-130のシステムを導入して、航空自衛隊が運用するC-130
に装備するのがベストと思われます。
PS-1の消火実験は1976年秋に神戸の六甲アイランドで行われました。
またCL215は1970年頃水戸射爆場(現常陸海浜公園)と泉佐野で、CL-415は1990年頃東京の豊洲
埠頭で行われたと記憶しています。